2024/12/25 by Genki KOBAYASHI · 1 voice
Social Sciences · #Diverse Education and Engineering Focus #Global Education and Multiculturalism #Globalization and Cultural Identity
paper · pdf · doi:10.11151/eds.115.27
openalex publication_date 2024/12/25 · openalex created_date 2026/06/05 · openalex updated_date 2026/07/28
本稿の目的は,日本において国際バカロレア(IB)が地方の公立高校に導入される場面で生じた葛藤を事例として,卓越したグローバルな中等教育がローカルな教育システムをどのように変容させうるのかについて検討することである。高知県における教育行政と地域住民の議論について分析した結果,以下の2点を明らかにした。 第1に,IBが前提とする生徒の高度な外国語能力や卒業後の進路に関して,地域住民からはローカル社会における現時点のニーズや公立学校教育の役割との齟齬が指摘されたことに対して,教育行政はローカル社会が将来的にグローバル化することを根拠としてIBの導入を促進していたことを示した。 第2に,グローバル教育の機会が相対的に少ない地方部の公立高校にIBが導入されることで,地域内で少数の者に教育リソースが集中するという教育格差の拡大に対する懸念と,グローバル教育の機会が豊富な大都市圏との教育格差が縮小することへの期待というジレンマが生じていることを指摘した。 以上の知見に基づき,①グローバル教育が日本のローカルな教育システムにもたらす「脱国家化」とは既存の公立学校教育の縮小という一面をもつこと,②ネオリベラルなグローバリズムが公教育において選択と集中を促進する論理の中で,大都市圏と地方部の間に旧来から存在していたグローバル教育の機会格差を埋めようとする地方部に固有の力学がその論理を強化していることを論じた。